業務用インカムとは、主にビジネスシーンにおいて、音声による双方向通信を行うための通信機器です。携帯電話とは異なり、特定の相手やグループと瞬時に接続し、ハンズフリーで会話ができるのが特徴です。
業務用インカムを導入することで、次のようなメリットがあります。

スムーズなコミュニケーション:現場作業員同士がリアルタイムに情報共有することで、作業効率が向上し、ミスやトラブルを減らすことができます。

安全性の確保:緊急時でも即座に連絡を取り合い、迅速な対応が可能になります。

コスト削減:携帯電話の通話料を削減できるだけでなく、業務効率化による人件費削減にもつながります。

顧客満足度の向上:迅速な対応により、顧客満足度向上に貢献します。

チームワーク向上:インカムを通じた密なコミュニケーションは、チームワーク向上にも役立ちます。

業務用インカムの種類と特徴

業務用インカムには、大きく分けて以下の4つのタイプがあります。

アナログインカム：シンプルで低コスト

アナログインカムは、価格が比較的安く、操作が簡単なのが特徴です。シンプルな機能で十分な場合や、初めてインカムを導入する企業におすすめです。ただし、通話音質や通信距離には制限があります。アナログインカムは電波法の改正に伴い、2024年11月30日までに制限されることになりました。そのため、2024年12月から使用できなくなります。

デジタルインカム：高音質・多機能でセキュリティ対策も万全

デジタルインカムは、アナログインカムに比べて音質がクリアで、通信距離が長いのが特徴です。また、セキュリティ性能も高く、盗聴のリスクを軽減できます。さらに、グループ通話や個別通話など、多彩な機能を搭載している機種も多く、さまざまな用途に対応できます。

Bluetoothインカム：スマホ連携で利便性向上

Bluetoothインカムは、スマホやタブレットと接続することで、ハンズフリー通話や音楽再生が可能です。軽量でコンパクトな機種が多く、装着感が良いのも特徴です。スマホと連携したアプリでインカムの設定や操作ができる機種もあります。

無線機：広範囲通信に対応

無線機は、免許が必要な機種と不要な機種があります。免許不要な機種は、特定小電力無線や簡易無線などがあります。通信距離が長く、多人数(最大10人など)での同時通話が可能な機種もあります。広範囲で使用する場合や、多人数での通信が必要な場合におすすめです。

インカムを選ぶ上での7つの重要ポイント

業務用インカムを選ぶ際には、以下の7つのポイントを考慮しましょう。

①通信距離：使用範囲に合わせた選択

インカムの通信距離は機種によって異なり、最大800m以上の機種もあります。使用する範囲に合わせて、適切な通信距離の機種を選びましょう。例えば、広大な建設現場やイベント会場では通信距離が長い機種が必要になります。

②同時通話：必要な人数を考慮

同時に通話可能な人数も機種によって異なります。最大10人まで同時通話できる機種もあれば、2人や4人など、少人数での通話に特化した機種もあります。業務内容やチームの人数を考慮して、適切な機種を選びましょう。

③防水・防塵性能：IPコードで確認

屋外や水を使う場所で使用する場合は、防水・防塵性能が重要です。防水・防塵性能はIPX7やIP67などのIPコードで表示されます。数字が大きいほど防水・防塵性能が高いことを示します。使用環境に合わせて、適切なIPコードの機種を選びましょう。

④バッテリー：連続使用時間と充電時間のチェック

インカムのバッテリー性能も重要なポイントです。連続使用時間が長い機種を選ぶことで、長時間の作業でもバッテリー切れを心配することなく使用できます。また、充電時間も確認し、業務に支障が出ないようにしましょう。20時間以上の連続使用が可能な機種や、急速充電に対応した機種もあります。

⑤音質：クリアな音声でストレスフリーなコミュニケーションを

インカムの音質は、コミュニケーションの質に大きく影響します。クリアな音質の機種を選ぶことで、スムーズな会話が可能になり、ストレスを軽減できます。ノイズキャンセリング機能搭載機種なら、周囲の騒音を抑え、よりクリアな音声で通話できます。

⑥装着感：長時間使用でも快適な装着感

インカムを長時間装着する場合は、装着感も重要なポイントです。軽量でコンパクトな機種や、耳にフィットするイヤホンタイプなど、装着感の良い機種を選びましょう。ヘルメットに装着するタイプのヘッドセットもあります。

⑦操作性：直感的な操作で業務効率アップ

インカムの操作性も、業務効率に影響するポイントです。ボタン配置やメニュー構成がわかりやすく、直感的に操作できる機種を選びましょう。グローブを装着したままでも操作しやすい機種や、音声案内機能が搭載された機種もあります。

シーン別おすすめインカムと人気メーカー

使用するシーンによって、最適なインカムは異なります。ここでは、シーン別におすすめのインカムと人気メーカーをご紹介します。

建設現場：耐久性と防塵・防水性能を重視

建設現場では、防水・防塵性能が高く、落下や衝撃に強い耐久性に優れた機種がおすすめです。騒音の多い環境でもクリアに会話できる、ノイズキャンセリング機能搭載機種も良いでしょう。

飲食店：軽量でスタイリッシュなデザイン

飲食店では、軽量で装着感の良い機種がおすすめです。また、お客様に不快感を与えないよう、スタイリッシュなデザインの機種を選ぶと良いでしょう。Bluetoothに対応し、スマホと接続して注文を受けたり、ハンズフリーで電話に応答できる機種も便利です。

イベント会場：多人数同時通話機能

イベント会場では、多人数での同時通話が可能な機種がおすすめです。通信距離が長く、安定した通信ができる機種を選びましょう。グループ通話機能を使うことで、特定のスタッフとだけ会話することもできます。

警備業：クリアな音質とセキュリティ性能

警備業では、クリアな音質で会話できる機種が重要です。また、セキュリティ性能が高く、盗聴のリスクを軽減できる機種がおすすめです。緊急時にもボタンひとつで通話できる機能が搭載された機種も良いでしょう。

事務所：Bluetooth接続でハンズフリー通話

事務所で使用する場合は、Bluetooth接続でスマホやパソコンと連携できる機種が便利です。ハンズフリーで電話に応答したり、Web会議に参加したりすることができます。

業務用インカム導入の3つの注意点

業務用インカムを導入する際には、以下の3つのポイントに注意しましょう。

電波法：技適マークの確認

日本でインカムを使用するには、技適マークの認証が必要です。認証されていない機種は使用できませんので、購入前に確認しましょう。

免許：無線機に必要な免許

無線機の中には、免許が必要な機種があります。免許不要な機種を選ぶか、免許を取得してから使用しましょう。免許に必要な情報は、総務省のホームページなどで確認できます。

セキュリティ：盗聴対策

インカムの通信は、盗聴される可能性もあります。セキュリティ性能が高い機種を選ぶ、通信内容を暗号化するなどの対策を講じましょう。重要な情報をやり取りする場合は、特に注意が必要です。

インカムをもっと便利に活用するアクセサリー

インカムには、さまざまなアクセサリがあります。アクセサリを使うことで、インカムをより便利に活用することができます。

ヘッドセット：ヘルメット装着時でも快適に通話

ヘルメットに装着するタイプのヘッドセットを使うことで、バイクや自転車に乗りながらハンズフリーで通話できます。作業用ヘルメットに装着できるタイプもあります。

イヤホン：周囲に配慮した通話が可能

イヤホンタイプのインカムは、装着が目立たないため、周囲に配慮しながら通話することができます。接客業やオフィスワークなどに最適です。

スピーカーマイク：複数人での会話に最適

スピーカーマイクを使うことで、インカムを装着していない人とも会話することができます。複数人でのミーティングや、お客様への説明などにも便利です。