最短即日出荷!小ロットから量産まで柔軟に対応します!

樹脂切削 課題解決センター

Produced by

yamaden-ロゴ

株式会社ヤマデン

column

技術情報・基礎知識

基礎知識「射出成形」と「樹脂切削」の選定基準とロット数の分岐点

プラスチック製品を製造する際、加工法の選定はプロジェクトのコストと納期を大きく左右します。特に比較されるのが、金型を用いて大量生産を行う「射出成形」と、材料を直接削り出す「樹脂切削」です。「一体何個から金型を作った方が安くなるのか」「試作段階ではどちらを選ぶべきか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。本記事では、射出成形と樹脂切削の根本的な違いから、コストが逆転する具体的なロット数の分岐点、選定の基準までを徹底解説します。

射出成形と樹脂切削の根本的な違い

最適な加工法を選ぶためには、まずそれぞれの加工特性とコスト構造の違いを理解する必要があります。

射出成形とは

射出成形は、金属で作られた型(金型)に熱で溶かしたプラスチックを流し込み、冷やして固めることで成形する方法です。最初に高額な金型製作費用(数十万〜数百万円)が発生しますが、一度金型を作ってしまえば、1個あたりの成形時間は数秒〜数十秒と短く、材料費とわずかな加工費だけで大量に複製できます。

樹脂切削とは

樹脂切削は、プラスチックのブロックや丸棒などの材料を、工作機械(マシニングセンタや旋盤)の刃物で直接削って形状を作る方法です。金型が不要なため、初期費用(イニシャルコスト)がほぼかかりません。ただし、1個ずつ時間をかけて削るため、製品を多く作っても1個あたりの加工コスト(ランニングコスト)はあまり下がりません。

ロット数の分岐点は「100個」が最大の目安

射出成形と樹脂切削のどちらが安くなるかという「コストの分岐点」は、一般的に【100個】が大きな目安になります。

製品の大きさや形状の複雑さによって上下しますが、数量に応じた選定基準は以下のように分類できます。

  • 1個〜数十個(試作・超小ロット): 樹脂切削が圧倒的に有利
  • 100個前後(中ロット・移行期): 簡易金型による射出成形か、樹脂切削かの検討が必要
  • 数千個〜数万個(量産ロット): 射出成形が圧倒的に有利

1個から数十個の段階では、高額な金型費用を回収できないため、樹脂切削を選ぶのが鉄則です。逆に、数量が数千個を超える場合は、樹脂切削では加工時間がかかりすぎてコストが膨大になるため、射出成形一択となります。

どちらを選ぶべき?数量以外の4つの選定基準

コスト(ロット数)だけで判断がつかない場合は、以下の4つの要素を考慮して選定します。

1. 開発のスピードと「納期」

  • 樹脂切削: 図面データがあれば数日〜1週間程度で製品が完成します。試作開発や急な設計変更にも柔軟に対応できます。
  • 射出成形: 金型の設計・製作から、試作・条件出しを行うため、最初の製品を手にするまでに早くても1ヶ月〜数ヶ月の期間が必要です。

2. 形状の自由度と「アンダーカット」

  • 樹脂切削: 刃物が届く範囲であれば、非常に複雑な形状や深い溝、ボス(突起)なども一体で削り出すことができます。
  • 射出成形: 金型は「パカッと開いて製品を取り出す」構造であるため、型の開閉方向に引っかかる形状(アンダーカット)がある場合、スライド構造などの複雑な機構が必要になり、金型費用がさらに跳ね上がります。

3. 製品に求められる「寸法精度」

  • 樹脂切削: 材料の塊からそのまま削り出すため、プラスチック特有の熱変形にさえ気をつければ、μm(ミクロン)単位の非常に高い寸法精度を出すことが可能です。
  • 射出成形: 溶けた樹脂が冷えて固まる際に「収縮(収縮による反りやヒケ)」が発生するため、肉厚が不均一な設計だと寸法が狂いやすく、精密な精度管理には高度な金型設計ノウハウが必要です。

4. 使用できる「材質の選択肢」

  • 樹脂切削: 切削用の素材(プレートや丸棒)として流通しているものであれば、スーパーエンプラを含めて幅広い材質に対応できます。
  • 射出成形: 成形用のペレット(粒状の原材料)の種類は豊富ですが、ガラス繊維が高充填された材料などは金型を著しく摩耗させるため、金型側に特殊な表面処理が必要になる場合があります。

コストを最適化するハイブリッドな活用方法

実際の製品開発では、どちらか一方だけを選ぶのではなく、開発フェーズに合わせて両方を組み合わせる手法が一般的です。

ステップ1:樹脂切削で形状・機能検証(1〜10個)

まずは金型を作らず、樹脂切削で数個だけ試作を行います。実際に組み立てて動かしてみて、設計ミスや改良点がないかを徹底的に検証します。

ステップ2:樹脂切削、または簡易金型で市場評価(10〜100個)

設計が固まったら、展示会への出展や初期ユーザーへの評価用として数十個〜100個を用意します。この段階でも、設計変更の可能性が残っている場合は樹脂切削を選択するか、アルミなどの削りやすい素材を使った「簡易金型(試作金型)」を起こして射出成形を行います。

ステップ3:本金型による射出成形(1,000個〜)

デザインや仕様が完全に確定し、市場での需要も見込めた段階で、耐久性の高い鋼材を使った「本金型(量産金型)」を製作し、射出成形による本格的な量産へ移行します。

まとめ

「射出成形」と「樹脂切削」のどちらを選定すべきかは、製作予定の「ロット数」をベースに、開発スケジュール、形状の複雑さ、必要な寸法精度を総合的に天秤にかけて判断します。

目安として、総製作数が100個未満であれば「樹脂切削」、将来的に数千・数万個とスケールさせていくことが確実であれば、初期投資を行って「射出成形」を選ぶのが、トータルコストを抑える最も賢い選択です。

関連する技術情報・基礎知識