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対応材質・加工能力
PVC(塩ビ)
PVC(ポリ塩化ビニル)は、汎用プラスチックを代表する非結晶性の熱可塑性樹脂です。優れた耐薬品性・耐候性・電気絶縁性を持ち、難燃性(自己消火性)を備えながら比較的安価であることから、化学装置部品、配管・継手、電線被覆、絶縁部品、日用品まで幅広く利用されています。
射出成形では、可塑剤の配合量によって硬質PVCから軟質PVCまで幅広い硬さの材料を選択できるのが大きな特長です。硬質PVCは剛性のある構造部品や継手・バルブ部品に、軟質PVCはパッキン・グロメット・チューブ継手などの柔軟な部品に用いられ、複雑形状や薄肉部品を一体で量産できます。なお切削加工では基本的に硬質PVCが対象となるのに対し、射出成形では軟質PVCも主要な成形対象となる点が特徴です。
1. 優れた耐薬品性・耐溶剤性
酸・アルカリ・塩類・アルコール類などに対して広範な耐薬品性を持ち、化学プラントや水処理・めっき設備まわりの部品に適しています。一方でケトン類・エステル類・芳香族溶剤などには侵されやすいため、接触する薬品に応じた確認が必要です。
2. 優れた耐候性・難燃性
屋外環境でも劣化しにくい良好な耐候性を持ちます。また塩素を含むため難燃性(自己消火性)に優れ、火気を伴う環境や電気部品まわりでも使用しやすい材質です。この難燃性から、電線被覆やコンセント・プラグなどの電気部品に射出成形品として広く採用されています。
3. 優れた電気絶縁性
高い絶縁抵抗を持ち、電気絶縁材料として広く利用されます。絶縁部品、端子まわりの部品、電線被覆・グロメットなど、電気・電子分野の絶縁部品に適しています。軟質・硬質を使い分けられる射出成形は、こうした電気部品の量産に適しています。
4. 優れた剛性と機械的強度(硬質PVC)
硬質PVCは剛性が高く、適度な機械的強度を持つため、荷重のかかる構造部品や継手・バルブ部品にも対応できます。一方で耐衝撃性はやや低く、低温環境では脆くなりやすい傾向があるため、衝撃や低温が想定される用途では耐衝撃改質グレード(MBS・アクリル系改質剤配合など)の検討が有効です。軟質PVCでは可塑剤量により柔軟性・弾性を調整できます。
5. 耐熱性に注意
連続使用温度は約60〜70°Cと、エンプラに比べて低めです。加えてPVCは熱に弱く、成形温度域(約160〜200°C)を超えたり滞留時間が長くなると熱分解を起こし、塩化水素ガスの発生や変色、金型・金属部の腐食を招きます。そのため成形時は樹脂温度・滞留時間の厳密な管理と、熱安定剤の配合、耐食処理を施した金型・シリンダーの使用が重要です。高温環境で使用する部品にはCPVC(耐熱塩ビ)や他材質との比較検討が必要です。
6. 寸法安定性は良好
非結晶性樹脂のため成形収縮率が小さく(おおむね0.1〜0.5%程度)、吸水による寸法変化も小さいため、寸法安定性は良好で高精度な成形に適しています。ただし線膨張係数は金属より大きく、また軟質グレードは硬質より収縮が大きくなる傾向があるため、グレードに応じた金型設計・公差設定が精度確保の鍵となります。
7. 成形性に注意
PVCは流動性がやや低く熱に弱いため、成形にあたっては温度・せん断発熱・滞留時間の管理が特に重要な材料です。適切な熱安定剤配合と成形条件により、熱分解を抑えた安定した成形が可能となります。金型・成形機には塩化水素ガスによる腐食対策として耐食処理が求められます。素材には標準の硬質PVC、軟質PVC、耐熱性を高めたCPVC、耐衝撃グレード、透明グレードなどがあり、用途に応じた最適な材料選定と成形提案が可能です。
PVC(塩ビ)の対応グレード
SN540
SN340
JP2780NLS-WE
JP1795NLS-WE