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基礎知識インサート成形とは|仕組み・メリット・金属部品との一体成形を解説!
インサート成形は、あらかじめ金型に金属部品や電子部品をセットし、その周りに樹脂を射出して一体化させる成形技術です。コネクタ・スイッチ・工具グリップなど、私たちの身の回りの多くの製品で採用されています。
組立工程削減・接合強度向上・電気絶縁性付与など多くのメリットがある一方、金型の複雑化や自動化の難しさなど特有の課題もあります。この記事では、創業60年・電子装置組立も対応する株式会社ヤマデンが、インサート成形の仕組みと実務ポイントを徹底解説します。
1. インサート成形とは
1-1. 定義
インサート成形は、通常の射出成形工程のなかで、成形開始時に金型を開いた状態でインサート部品を金型内(主にコア側)の所定位置に挿入し、その後型を閉じて溶融樹脂を充填、金属部品と樹脂を一体化させる工法です。
最大の特徴は、後工程の組立を成形と同時に完了できる点です。
1-2. 通常の射出成形との違い
| 項目 | 通常射出成形 | インサート成形 |
| 金型へのセット | 樹脂のみ | 金属部品等を事前にセット |
| 成形機 | 横型成形機が一般的 | 竪型成形機が一般的 |
| 自動化 | 容易 | インサート挿入で半自動化が必要 |
| 1サイクル時間 | 短い | インサート挿入分長い |
| 金型構造 | シンプル | インサート保持機構が必要 |
| 最終製品 | 樹脂単独 | 樹脂+金属の一体品 |
1-3. 竪型成形機がインサート成形に向く理由
インサート成形には竪型射出成形機が多用されます。理由は次のとおりです。
- 金型開閉が垂直方向のため、インサート部品の保持が安定する
- 樹脂充填時に重力の影響を受けにくく、インサートがずれない
- インサート挿入の自動化(ロボット搬送)がしやすい
- 作業者がインサートをセットする作業姿勢が安全
2. インサート部材の種類
インサート成形に使われる部材は多岐にわたります。
2-1. 金属インサート(最も一般的)
- ナット・ネジ(樹脂に螺合機能を付与)
- シャフト・ピン(樹脂に回転・固定機能を付与)
- 端子・リードフレーム(電気接続)
- ブッシュ(摺動・耐摩耗)
- 板金部品(補強・形状保持)
2-2. 電子部品インサート
- プリント基板(PCB)
- センサー素子
- コネクタ端子
- ICチップ
2-3. その他のインサート
- ガラス・セラミック部品
- カーボンシート
- 印刷フィルム(フィルムインサート成形)
- 布・不織布
2-4. インサート部品の固定方法
インサート部品を金型内で正しい位置に保持する方法は、部品の特性に応じて使い分けます。
| 固定方法 | 適用部品 |
| 磁力固定 | 磁性体(鉄・ニッケル合金) |
| ピン・ホール嵌合 | ネジ・ナット等の規格部品 |
| 真空吸着 | 平面部のあるインサート |
| メカニカル保持 | スプリング・チャック機構 |
3. インサート成形の工程
| 工程 | 内容 | ポイント |
| ①インサート準備 | インサート部品の検品・整列 | 異物混入・寸法ばらつきに注意 |
| ②金型へセット | 金型のキャビティまたはコアの所定位置に挿入 | 位置決め精度が品質を左右 |
| ③型締め | 型を閉じてインサートを固定 | インサートずれ検知システムも |
| ④射出・保圧 | 溶融樹脂を充填してインサートを包む | 樹脂温度の影響に注意 |
| ⑤冷却 | 樹脂が固化するまで冷却 | 樹脂と金属の熱膨張差に注意 |
| ⑥取り出し | 型開きしてインサート+樹脂の一体品を取り出し | インサートの脱落に注意 |
最も難しいのは「インサート位置決め」と「インサート傷つき防止」の2点です。金型設計の段階から十分な検討が必要です。
4. インサート成形のメリット
4-1. 組立工程の削減
最大のメリットは、成形と組立を1工程で完了できることです。従来は「樹脂部品成形→金属部品圧入→検査」と複数工程が必要だったものが、成形のみで完成します。
4-2. 高い接合強度
溶融樹脂がインサート部品の表面に密着して固化するため、機械的な圧入や接着剤よりも接合強度が高くなります。振動・衝撃環境でも外れにくいのが特徴です。
4-3. 電気絶縁性の付与
金属部品の周りを樹脂で覆うことで、電気絶縁性を付与できます。コネクタ・スイッチで広く活用されている特性です。
4-4. 異種材料の組み合わせ
金属(強度・電気特性)と樹脂(軽量・絶縁・意匠性)の長所を1部品で実現できます。
4-5. 量産時のコスト削減
量産時は組立工程削減によるトータルコスト削減効果が大きく、年間数万個以上の生産で大きなメリットが出ます。
5. インサート成形のデメリット・注意点
5-1. 金型設計の複雑化
インサート部品を正確な位置で保持し、傷をつけずに取り出すための機構を金型に組み込む必要があります。通常の射出成形金型より設計が複雑で、金型コストは1.5〜2倍程度になります。
5-2. 自動化の難しさ
インサート部品の挿入は、形状によっては手作業が必要です。パーツフィーダーやロボットによる自動化も可能ですが、追加投資が必要です。
5-3. 不良発生リスク
インサート成形特有の不良が発生します。
- インサート位置ずれ
- 樹脂とインサートの密着不良
- インサート傷つき
- インサート熱膨張差による応力割れ
- 樹脂充填不良(インサート周辺)
5-4. インサート部品のコスト
インサート部品(特殊形状の金属部品など)が高額な場合、量産コストに大きく影響します。汎用ナット・ネジを活用するなどの工夫が必要です。
5-5. 中空部品・気密性確保が難しい
インサート部品の中空構造への樹脂充填や、樹脂と金属の境界面の気密性確保には特殊な金型設計が必要です。
6. インサート成形 vs アウトサート成形 vs 2色成形
「金属+樹脂」の一体化技術には複数の選択肢があります。
| 項目 | インサート成形 | アウトサート成形 | 2色成形 |
| 方法 | 金型内にインサート部品を挿入後、樹脂を射出 | 樹脂成形後にネジ等を加熱圧入 | 2種類の樹脂を1サイクルで成形 |
| 接合強度 | 非常に高い | 低〜中 | 非常に高い |
| 生産効率 | 高い | 中 | 非常に高い |
| 設計自由度 | 中 | 高(後付けで変更可) | 中(金型設計が複雑) |
| 金型費 | 中〜高 | 低 | 非常に高い |
| 主な用途 | 金属+樹脂一体品 | 少量・修正想定品 | 樹脂+樹脂一体品 |
生産量が多く、樹脂と金属を確実に一体化したいならインサート成形が最適です。試作・少量・後で修正の可能性があるならアウトサート成形が向きます。
7. インサート成形の主な用途
7-1. コネクタ・スイッチ
電子機器のコネクタでは、金属端子を樹脂で絶縁・固定するインサート成形が標準工法です。自動車・産業機器・家電のすべてで使われています。
7-2. 工具のグリップ
ドライバーやペンチの柄部分は、金属シャフトに樹脂グリップをインサート成形で一体化しています。
7-3. インサートナット付き樹脂部品
樹脂部品にネジ穴を確保するため、金属ナットをインサート成形で埋め込みます。プラスチック単独ではネジが効かない箇所で多用されます。
7-4. 自動車部品
ABSセンサー・各種電装部品・コネクタなど、自動車部品ではインサート成形が広く採用されています。
7-5. 医療機器
カテーテルの金属チップを樹脂で覆う、針を樹脂ホルダーに固定するなど、医療機器でも採用されています。
8. ヤマデンのインサート成形対応
ヤマデンでは創業60年で、樹脂加工・金属加工・電子装置組立を一貫対応してきた強みを活かして、インサート成形のご相談を承っています。
- 提携メーカーとの連携によるインサート成形受託
- インサート部品(金属・電子部品)の社内製作・調達
- インサート成形品の後工程(印刷・塗装・組立)対応
- 半導体製造装置向け部品の組立対応
| ヤマデンは電子装置組立部門もあり、インサート成形品の電子部品実装まで対応 インサート成形の前段としての金属部品加工、後段としての電子部品実装・組立まで一気通貫でご提案できます。複数業者を分散発注する手間を削減できます。 |
| 射出成形・プラスチック加工のご相談はヤマデンへ 「図面はあるが成形業者が見つからない」「試作1個だけで申し訳ない」「材料選びから相談したい」──どんな段階のご相談でも無料でお受けします。 TEL:042-682-2811(受付 9:00〜17:30、土日祝除く) 無料見積もり・お問い合わせ:https://yamaden-ltd.co.jp/form/estimate/ |
9. よくある質問(FAQ)
Q1. インサート成形の最小ロットは?
金型が複雑なため、量産(年間数千個以上)が前提となります。試作・少量はアウトサート成形(後付け圧入)を提案します。
Q2. インサート部品はどんな素材が使えますか?
金属(鉄・ステンレス・真鍮・アルミ)、電子部品、ガラス、セラミック、フィルムなど多岐にわたります。樹脂と熱膨張差が大きい素材は応力割れ対策が必要です。
Q3. インサート位置ずれを防ぐには?
金型のインサート保持機構(ピン・嵌合・磁力等)の設計が重要です。また、インサート供給時の位置精度確保(パーツフィーダー・ロボット)も必要です。
Q4. インサート成形で樹脂と金属の隙間が問題になります。
樹脂と金属の熱膨張係数が異なるため、冷却時に微小な隙間が発生することがあります。気密性確保には接着剤併用や、シーラント注入などの後工程が有効です。
Q5. 自動化を進めたいです。
インサート供給ロボット・取り出しロボット・検査システムを組み合わせることで、ほぼ完全な自動化が可能です。投資対効果を見て段階的に進めることをおすすめします。
まとめ
インサート成形は、樹脂と金属(または電子部品)を1工程で一体化できる高度な成形技術です。組立工程削減・高い接合強度・電気絶縁性付与など多くのメリットがあり、量産製品で広く採用されています。
ヤマデンでは樹脂加工・金属加工・電子組立を社内で一貫対応する強みを活かし、インサート成形を含むトータルなご提案が可能です。設計段階からのご相談をお待ちしています。