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基礎知識2色射出成形とは|仕組み・工程・メリット・材料の選び方を解説!

2色射出成形(2色成形・ダブルモールド)は、異なる色や異なる材質の樹脂を1つの製品として一体成形する射出成形技術です。歯ブラシのグリップ・自動車内装・家電のボタンなど、身近な製品に幅広く採用されています。

塗装や印刷を省略でき、耐久性と意匠性を両立できることから、近年ますます採用が広がっています。この記事では、2色射出成形の仕組み・工程・材料の組み合わせ・メリット・デメリットを徹底解説します。

2色射出成形とは

1-1. 定義

2色射出成形は、2種類の異なる樹脂(または同じ樹脂で色違い)を、1サイクルの成形で一体化する射出成形技術です。専用の2色射出成形機を使用し、2本のシリンダー・2つの金型を組み合わせて成形します。

「2色成形」と呼びますが、必ずしも色が違う必要はありません。次のような組み合わせが「2色成形」と呼ばれます。

  • 異材質・異色(例:硬質ABS+軟質TPE)
  • 同材異色(例:黒PC+透明PC)
  • 同材透明(例:白ABS+透明ABS)
  • 異材同色(例:強度部のPA+シール部のTPV)

1-2. インサート成形・オーバーモールドとの違い

2色成形に似た技術として、インサート成形とオーバーモールドがあります。

技術違い
2色成形2つの樹脂を1サイクルで一体成形(専用機)
インサート成形金型に金属部品を挿入して樹脂で覆う
オーバーモールド成形済みのコア部品を別工程で再成形

2色成形は専用機を使うため初期投資が必要ですが、量産時の生産性が最も高いという特徴があります。

2. 2色射出成形機の構造と方式

2-1. 専用成形機の基本構造

2色射出成形機は、1台の成形機に次の特殊機構を備えています。

  • 2本の射出シリンダー(樹脂A・樹脂Bを別々に射出)
  • 2つの金型または回転金型
  • 型締め装置を回転・スライドさせる機構

2-2. 主な方式の比較

方式仕組み特徴
ロータリー方式可動側金型が180°回転し、1次→2次へ移動ハイサイクル、量産向き
パーティング射出方式(L字配置)2次射出機がコア側からL字方向に射出複雑な一体成形が可能、金型コスト低減
コアバック方式コアを後退させて2次キャビティを形成金型構造シンプル、移動なし
スライド方式金型がスライドして1次→2次へ移動中小ロット・複雑成形向き

2-3. 1サイクルの流れ(ロータリー方式の例)

工程内容
①型締め可動側金型を閉じ、1次側・2次側を同時に成形開始
②射出1次側で樹脂A射出、2次側で樹脂B射出(同時進行)
③冷却樹脂が固化するまで冷却
④型開き・回転可動側を後退させ、180°回転して位置入替
⑤取り出し2次側完成品を取り出し、1次側に新たな1次成形品が移動

3. 2色成形に使える樹脂と組み合わせの相性

2色成形では、2つの樹脂の「相性」が成功を左右します。相性の悪い樹脂を組み合わせると剥離・密着不良が発生します。

3-1. 相性の良い組み合わせ

1次樹脂2次樹脂用途
ABS(硬質)TPE・TPV(軟質)グリップ、防滑部品
PC(硬質透明)PC-ABS(着色)スマホケース、家電
PA(強度)TPV(シール)コネクタ防水、シール部品
PP(汎用)TPO(軟質オレフィン)自動車内装、食品容器
PALSR(シリコン)防水コネクタ、医療部品
透明PMMA着色PMMA意匠部品、看板

3-2. 相性の悪い組み合わせ(剥離リスク)

極性が大きく異なる樹脂同士は密着しにくく、剥離リスクが高くなります。

  • PE系(ノンポーラ)×PA系(ポーラ)
  • PP×ABS(極性差大)
  • POM×他樹脂全般(POMは密着しにくい)
  • PTFE×他樹脂全般(フッ素系は密着不可)

どうしても組み合わせたい場合は、相溶化剤添加グレードや密着改良グレードを選定するか、機械的な引っかかり構造(アンカー)を金型に設けて対応します。

3-3. 収縮率の差を考慮した材料選定

2つの樹脂で成形収縮率が大きく異なると、成形品にそり・変形が発生します。

  • 両材料の収縮率差は0.5%以内が望ましい
  • 収縮差が大きい場合は2次樹脂の肉厚を薄くする
  • ガラス繊維強化品との組み合わせは特に注意

4. 2色射出成形のメリット

4-1. 後工程(塗装・印刷)が不要

通常の射出成形では、色を変えるために塗装や印刷が必要です。2色成形では成形と同時に色付けが完了するため、後工程を完全に省略できます。塗装の剥がれリスクもありません。

4-2. 部品点数削減・組立工程削減

従来は別々に成形した部品を組み立てていた製品が、1サイクルで一体化できます。部品点数が減り、組立コスト・在庫管理コストが削減されます。

4-3. 接合強度向上

樹脂同士が溶融状態で接合するため、接着剤や機械的結合よりも接合強度が高くなります。

4-4. 量産ハイサイクル対応

ロータリー方式の場合、1次と2次が同時に進行するため、サイクルタイムは通常の射出成形と同等かそれ以下になります。量産で大きなコストメリットがあります。

4-5. デザインの幅が広がる

色・素材を組み合わせることで、製品の意匠性が大きく向上します。グリップ感・触感・視覚的なアクセントを一体で付加できます。

5. 2色射出成形のデメリット・注意点

5-1. 金型コストが単色の2倍程度

2色成形の金型は1次側・2次側の2セットが必要で、さらに回転機構やスライド機構を組み込むため、金型コストは単色金型の2倍程度になります。

5-2. 専用成形機が必要

2色成形には専用の2色射出成形機が必要です。通常の成形機では対応できません。

5-3. 設計段階での十分な検討

2色成形は後から軌道修正が難しいため、設計段階で次の項目を慎重に検討する必要があります。

  • 材料の組み合わせ相性
  • 肉厚バランス(1次と2次の収縮差吸収)
  • ゲート位置の最適化
  • 離型・取り出しの順序

5-4. 量産ロット数で投資回収を判断

金型費が高いため、量産ロット数が少ないと1個あたりのコストが上昇します。一般的に年間1万個以上の量産で投資回収が見えるラインです。

6. 2色射出成形の主な用途・実例

6-1. 自動車関連

インパネのスイッチ・ハンドルグリップ・シフトノブ・コネクタ・ドアトリムなど、内装部品で多用されています。

6-2. 家電・OA機器

スイッチ・ボタン・リモコン・キーボードキーなど、操作性と意匠性が必要な部品で採用されています。

6-3. 工具・日用品

ドライバー・ペンチのグリップ部、歯ブラシのグリップ、化粧品ケースなど、手で握る部分の防滑性とデザイン性を両立しています。

6-4. 医療・健康器具

採血キット・吸入器・チューブコネクタなど、樹脂部とシリコン部の一体成形が活躍します。

6-5. 食品関連

食品容器のシール構造、調理器具のグリップなどに使われます。

7. ヤマデンの2色成形・関連対応

ヤマデンでは、2色成形そのものの設備は持ちませんが、提携メーカーとの連携により2色成形の受託にも対応しています。また、2色成形の前段として必要となる切削加工・単色射出成形・組立は社内で完結できるため、トータルなご提案が可能です。

  • 2色成形対応メーカーとの連携によるトータル提案
  • 試作段階での切削加工によるサンプル提供
  • 2色成形品の後工程(印刷・組立・梱包)対応
2色成形にする前に「本当に2色が必要か」を相談ください 単色成形+インサート、または単色成形2部品+組立の方が安く済むケースも多数あります。ヤマデンでは2色成形を前提とせず、最適な工法を提案します。
射出成形・プラスチック加工のご相談はヤマデンへ 「図面はあるが成形業者が見つからない」「試作1個だけで申し訳ない」「材料選びから相談したい」──どんな段階のご相談でも無料でお受けします。 TEL:042-682-2811(受付 9:00〜17:30、土日祝除く) 無料見積もり・お問い合わせ:https://yamaden-ltd.co.jp/form/estimate/

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 2色成形の最小ロットは?

金型コストが高いため、年間1万個以上の量産が目安です。試作段階では切削加工で形状確認をすることをおすすめします。

Q2. 2色成形と3色成形の違いは?

3色成形は同じ原理で樹脂を3種類使う方式です。金型・成形機がさらに複雑になり、コストが上がります。

Q3. 透明樹脂と着色樹脂の2色成形は可能ですか?

はい、同じ樹脂(例:透明PC+着色PC)であれば確実に密着します。意匠性のある製品に多用される組み合わせです。

Q4. 既存の単色成形品を2色化したいです。

既存金型は流用できず、新規金型製作が必要です。投資対効果(年間ロット数×単価削減)を計算してから判断することをおすすめします。

Q5. 2色成形にすると組立工程は本当に消えますか?

製品設計次第ですが、組立工程の完全廃止が可能なケースが多いです。逆に組立工程が残るなら、2色成形のメリットが半減します。

まとめ

2色射出成形は、後工程削減・部品点数削減・意匠性向上を実現する高度な成形技術です。一方で金型コストが高く、設計段階での十分な検討が必要です。

ヤマデンでは「本当に2色成形が必要か」の判断から、提携メーカーとの連携による2色成形受託、後工程まで一貫してご提案できます。

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