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樹脂材料シリコン射出成形(LSR成形)とは|仕組み・特徴・通常樹脂との違いを解説!

シリコン射出成形は、医療機器のパッキン・自動車のシール部品・家電のスイッチ部品など、耐熱・耐寒・電気絶縁・生体安全性が必要な部品で広く使われています。「LSR成形」「LIM成形」とも呼ばれます。

通常のプラスチック射出成形とは加熱・冷却の方向が逆になる特殊な工法で、専用設備と高度なノウハウが必要です。この記事では、株式会社ヤマデンが、シリコン射出成形の仕組み・特徴・通常成形との違いを徹底解説します。

1. シリコン射出成形とは何か

1-1. LSR(液状シリコーンゴム)の定義

シリコン射出成形で使用される材料は、LSR(Liquid Silicone Rubber/液状シリコーンゴム)と呼ばれる液状の2液性シリコーンです。主剤(A液)と硬化剤(B液)を専用ポンプで定量混合し、金型に射出後、加熱硬化(加硫)させることで成形品を得ます。

1-2. 「シリコン成形」「LSR成形」「LIM成形」の用語整理

シリコン射出成形には複数の呼び方があり、混乱しやすいので整理します。

用語正式名称意味
LSR成形Liquid Silicone Rubber molding液状シリコーンゴムを使った成形の総称
LIM成形Liquid Injection Molding液状シリコーンの射出成形プロセス
シリコン射出成形上記2つの一般的な呼び方
シリコンゴム成形固形シリコーン(ミラブル)も含む広い意味

この記事では主に最も普及しているLSR成形(射出成形タイプ)について解説します。

1-3. シリコンの分類と特徴

シリコーンゴムには液状と固形(ミラブル)の2種類があり、射出成形には液状(LSR)が使われます。

2. 通常の射出成形との根本的な違い

LSR成形の最大の特徴は、通常の射出成形と加熱・冷却の方向が逆転することです。

要素通常射出成形(熱可塑性樹脂)LSR成形(熱硬化性)
材料の状態固体ペレット液体(2液性)
シリンダー温度高温(200〜400℃で溶融)低温(10〜30℃で液状維持)
金型温度低温(〜200℃)高温(150〜200℃で加硫)
成形原理加熱→冷却で固化加熱で化学反応・硬化
再利用可能(再溶融できる)不可能(一度硬化したら戻らない)
バリ発生しやすいノーバリ・ランナーレス化可能

2-1. シリンダー側が低温・金型側が高温

通常成形では「シリンダーで溶かして金型で冷やす」のに対し、LSR成形では「シリンダーで液状を維持して金型で硬化させる」という逆の動作になります。シリンダー部分は10〜30℃に冷却されており、金型は150〜200℃に加熱されています。

2-2. 専用設備が必要

LSR成形には専用の射出成形機が必要です。具体的には次の設備が組み合わさります。

  • 2液計量混合ユニット(主剤・硬化剤の定量混合)
  • スタティックミキサー(混合の均一化)
  • 低温シリンダー(液状を維持)
  • 加熱金型(150〜200℃の加硫温度)

3. LSR成形の工程

3-1. 1サイクルの流れ

LSR成形の1サイクルは次のように進みます。

工程内容
①計量・混合主剤と硬化剤を1:1で計量し、スタティックミキサーで混合
②射出低温シリンダーから加熱金型キャビティに射出
③加硫金型温度で化学反応が進み、液体→ゴム状に硬化
④型開き・取り出し成形品を取り出す(バリ・ランナーは最小)
⑤後加硫(必要時)オーブンで2次加硫し物性を完成させる

3-2. 加硫条件(金型温度と時間)

加硫条件はLSRグレードによって異なりますが、目安は次のとおりです。

  • 金型温度:150〜200℃
  • 加硫時間:10〜30秒(小型部品)〜60秒(大型部品)
  • 後加硫(オーブン):200℃×4時間(必要に応じて)

3-3. ノーバリ・ランナーレス金型のメリット

LSR成形では、コールドランナーシステムを使うことでランナー部の硬化を防ぎ、樹脂使用量を大幅に削減できます。これにより通常の射出成形では難しかった「ノーバリ・ランナーレス成形」が実現します。

4. シリコン(LSR)の主な特性

LSRは他の樹脂・ゴム素材にはない多くの優れた特性を持っています。

4-1. 耐熱・耐寒性

一般的なLSRは-50℃〜+200℃の広い温度範囲で使用可能です。さらに特殊グレードでは-100℃〜+300℃まで対応するものもあります。

4-2. 電気絶縁性

優れた電気絶縁性を持ち、コイル絶縁・配線カバー・電子部品の防水シールに使われます。

4-3. 耐候・耐オゾン性

紫外線・オゾン・湿気に強く、屋外使用でも長期間性能を維持します。

4-4. 生体安全性

化学的に安定で生体への影響が少ないため、医療機器や食品接触部品にも採用されます。

4-5. 透明性と着色性

透明なLSRも存在し、ガラス代替の光学部品にも使われます。また自由に着色可能で意匠性のある部品にも対応できます。

4-6. 反発弾性

圧縮永久ひずみが少なく、長期間繰り返し圧縮されるシール用途で性能を維持します。

5. LSR成形と熱可塑性エラストマー(TPE)との違い

「ゴム的な部品が欲しい」場合、LSRとTPE(熱可塑性エラストマー)の選択肢があります。両者の違いを整理します。

項目LSRTPE
材料形態2液液体固体ペレット
成形機専用機通常の射出成形機
再利用不可可能
耐熱性-50〜200℃-30〜130℃
価格高め安め
生体安全性非常に高い用途による
長期耐久性非常に高い劣る

コスト・成形しやすさを優先する場合はTPE、耐熱・長期耐久・生体安全性を優先する場合はLSRが選ばれます。

6. シリコン射出成形の主な用途

6-1. 医療機器

注射器シール・カテーテル・人工呼吸器マスク・チューブなど、生体接触が必要な医療機器に広く採用されています。

6-2. 自動車部品

エンジン周辺のシール部品・コネクタの防水パッキン・スパークプラグブーツなど、高温・耐薬品環境のシール用途で使われます。

6-3. 家電・OA機器

スイッチのラバーキー・防水パッキン・ボタン部品で意匠性と耐久性を両立します。

6-4. 食品関連

食品工場のパッキン・調理器具のシール・ベビー用品・哺乳瓶の乳首など、衛生面の高い基準を満たします。

6-5. 電子・電機

コネクタシール・LED封止材・スマートフォン部品など、防水・電気絶縁・透明性が必要な用途で活躍します。

7. LSR成形のメリット・デメリット

7-1. メリット

  • 熱硬化性樹脂・通常ゴムの代替として幅広く活用可能
  • 射出成形によりサイクル時間が短く、量産性に優れる
  • ノーバリ・ランナーレス化で材料ロスが少ない
  • 自動化との相性が良い
  • 液状のため微細・複雑形状にも対応可能
  • 透明性・着色性が高く意匠性に優れる

7-2. デメリット

  • 材料単価が一般樹脂やゴムより高め
  • 一度硬化したら再利用不可(リサイクル不可)
  • 専用成形機・金型が必要で初期投資が大きい
  • 対応できる成形メーカーが限られる

8. LSR成形と2色成形の組み合わせ

近年では、樹脂(PA・PBT等)とLSRを1つの成形品で一体成形する「2材質成形」が広がっています。

ポリアミドと密着親和性のあるLSRを使えば、樹脂部分とゴム部分が一体化した部品を1サイクルで成形できます。自動車部品の防水コネクタや家電のスイッチカバーなどで採用が進んでいます。

9. ヤマデンのシリコン関連加工対応

ヤマデンでは創業60年で蓄積した素材知識をもとに、シリコン関連加工のご相談を承っています。

  • シリコンゴムの抜き加工・切削加工(試作・小ロット)
  • シリコン関連部品の組立・後加工
  • LSR成形メーカーとの連携によるトータル提案
「LSR成形にすべきか他の素材か」のご相談を承ります シリコンが本当に必要か、TPE・PUR等で代替できるかなど、素材選定の段階からご相談いただけます。豊富な樹脂・ゴム知識で最適解を提案します。
射出成形・プラスチック加工のご相談はヤマデンへ 「図面はあるが成形業者が見つからない」「試作1個だけで申し訳ない」「材料選びから相談したい」──どんな段階のご相談でも無料でお受けします。 TEL:042-682-2811(受付 9:00〜17:30、土日祝除く) 無料見積もり・お問い合わせ:https://yamaden-ltd.co.jp/form/estimate/

10. よくある質問(FAQ)

Q1. シリコン射出成形と圧縮成形の違いは?

圧縮成形は固形シリコーン(ミラブル)を金型で挟んで加熱硬化させる方式で、設備投資は小さいですが量産性が低い。射出成形(LSR)は量産性に優れますが、設備投資が大きくなります。

Q2. LSRの最小成形ロットは?

金型費が高めなので一般的には数千個〜の量産向きです。試作・小ロットの場合は圧縮成形や切削加工との組み合わせを検討します。

Q3. LSRの色付けは可能ですか?

はい、専用の色マスターバッチで自由に着色できます。半透明・透明グレードもあり、意匠性のある製品が作れます。

Q4. LSR成形品の表面に油が浮いてくることがあります。

これはブリードと呼ばれる現象で、配合中の低分子量成分が経時的に表面に出る場合があります。配合グレード変更や後加硫処理で改善できます。

Q5. 医療グレードのLSRはありますか?

はい、USP Class VI認証グレードやISO 10993対応グレードが各メーカーから供給されています。医療機器用途では必ず該当グレードを選定します。

まとめ

シリコン射出成形(LSR成形)は、通常の射出成形と加熱・冷却が逆転する特殊な工法で、専用設備と高度なノウハウが必要です。耐熱・耐寒・電気絶縁・生体安全性が必要な部品で、他の素材では実現できない性能を発揮します。

ヤマデンでは樹脂・ゴム両方の知識をもとに、LSR成形が本当に必要か、他素材で代替できるかも含めて、最適な素材選定をご提案します。お気軽にご相談ください。

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