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樹脂材料POM成形・アクリル(PMMA)成形とは|特性・成形条件・用途を解説!
射出成形でよく使われる素材のうち、エンプラの代表「POM(ポリアセタール)」と、汎用透明樹脂の代表「PMMA(アクリル)」は、それぞれ全く異なる特性と用途を持つ重要な樹脂です。
この記事では、創業60年・POMとアクリル加工実績多数の株式会社ヤマデンが、POMとPMMAの基本特性・成形条件・現場で直面する課題・代表的な用途を、現場目線で徹底解説します。
1. POM(ポリアセタール)成形とは
1-1. POMの基本特性
POM(Polyacetal、ポリアセタール)は、高い結晶性と優れた機械的特性を持つエンプラの代表格です。「ジュラコン」「デルリン」などの商品名で知られています。
| 特性 | 数値・特徴 |
| 連続使用温度 | 約90〜100℃ |
| 引張強度 | 60〜70MPa |
| 耐摩耗性 | 非常に高い(自己潤滑性あり) |
| 摺動性 | 低摩擦係数、滑り性に優れる |
| 寸法安定性 | 高い(吸水率0.2%以下) |
| 耐薬品性 | 有機溶剤・燃料に強い、強酸・強アルカリには弱い |
| 電気特性 | 良好な絶縁性 |
1-2. コポリマーとホモポリマーの違い
POMには2種類の重合タイプがあり、用途に応じて選定します。
| 項目 | ホモポリマー | コポリマー |
| 代表商品 | デルリン(デュポン) | ジュラコン(ポリプラスチックス) |
| 機械強度 | やや高い | 標準的 |
| 耐熱性 | やや高い | 標準的 |
| 耐薬品性 | 強アルカリに弱い | 強アルカリにやや強い |
| 熱分解温度 | 低い(取扱注意) | 高い |
| 主な用途 | 高強度・高精度部品 | 汎用機械部品・摺動部品 |
1-3. POM成形の標準条件
| パラメータ | 設定値 |
| シリンダー温度 | 190〜220℃(後部180℃→前部220℃) |
| 金型温度 | 80〜100℃ |
| 射出圧力 | 60〜120MPa |
| 射出速度 | 中速 |
| 乾燥条件 | 80℃×2〜3時間 |
| 成形収縮率 | 1.8〜2.5% |
1-4. POM成形でよく起きる課題と対策
POMは扱いやすい樹脂ですが、いくつか特有の注意点があります。
| 熱分解とホルムアルデヒドガス ホモポリマーPOMは200℃を超えると分解しやすく、刺激性のホルムアルデヒドガスを発生します。連続成形時は換気設備(局所排気)が必須です。 |
- 対策:シリンダー温度を必要最小限に抑える
- 対策:滞留時間を10分以内に管理
- 対策:成形機停止時は別の樹脂でパージ
また、POMは結晶化収縮が大きいため、肉厚部のヒケ・そりが発生しやすい点に注意が必要です。保圧・冷却バランスの調整で対応します。
1-5. POMの主な用途
- 歯車・カム・軸受け(自己潤滑性)
- 食品機械の搬送部品
- 自動車の内装部品(クリップ、ファスナー)
- 家電の機構部品
- 半導体製造装置の樹脂部品
2. アクリル(PMMA)成形とは
2-1. PMMAの基本特性
PMMA(Polymethyl methacrylate、メタクリル樹脂)は「アクリル樹脂」「メタクリル」とも呼ばれる代表的な透明樹脂です。
| 特性 | 数値・特徴 |
| 光透過率 | 92%以上(ガラスより高い) |
| 連続使用温度 | 約70〜90℃ |
| 耐候性 | 屋外でも10年以上の寿命 |
| 表面硬度 | 樹脂の中で最高クラス |
| 耐衝撃性 | 低い(割れやすい) |
| 接着性 | 重合接着で完全一体化が可能 |
| 着色性 | 透明・半透明・着色すべて対応 |
2-2. PMMA成形の標準条件
| パラメータ | 設定値 |
| シリンダー温度 | 220〜260℃ |
| 金型温度 | 60〜90℃ |
| 射出圧力 | 80〜150MPa |
| 射出速度 | 遅め〜中速(フローマーク防止) |
| 乾燥条件 | 80℃×3〜4時間(必須) |
| 成形収縮率 | 0.4〜0.7%(低収縮) |
2-3. 透明性を保つための成形ノウハウ
アクリルの最大の価値は透明性です。透明性を確保するためのポイントを解説します。
- 乾燥の徹底:水分があると気泡・シルバーストリークが発生
- ゆっくり射出:高速射出はフローマーク・白化の原因
- 金型温度を高めに:60〜90℃で表面光沢を確保
- 金型表面の磨き:金型表面の傷がそのまま成形品に転写される
- ガス抜き構造:充填末端のヤケを防ぐ
2-4. アクリル成形での代表的な不良
- シルバーストリーク(銀条):乾燥不足が主因
- フローマーク:射出速度が速すぎる
- 白化:金型温度が低い、または射出速度が極端
- 気泡:乾燥不足・成形温度のばらつき
2-5. アクリルの後工程の特徴
アクリル成形品は他樹脂にない後工程対応が可能です。
- バフ仕上げ:研磨で表面の傷を取り除き透明度を回復
- 重合接着:成形品同士を完全一体化(光学的に継ぎ目が見えない)
- 曲げ加工:加熱して曲げ成形可能(光学部品で多用)
- レーザー印刷:細かい印字も可能
2-6. PMMAの主な用途
- 光学レンズ・LEDカバー・導光板
- ディスプレイの保護パネル
- 医療機器の透明部品(試験管、ピペット等)
- 航空機・自動車の窓・透明部品
- 看板・建築用の透明パネル
- 水槽・展示ケース
3. POMとPMMAの比較表
POMとPMMAは特性が全く異なる樹脂で、用途も明確に分かれます。
| 比較項目 | POM | PMMA |
| 分類 | エンプラ(結晶性) | 汎用プラスチック(非結晶性) |
| 透明性 | 不透明(白・黒・着色) | 透明(光透過率92%) |
| 連続使用温度 | 90〜100℃ | 70〜90℃ |
| 機械強度 | 高い | 中程度 |
| 耐衝撃性 | 良好 | 脆い(割れやすい) |
| 耐摩耗性 | 非常に高い | 低い |
| 寸法安定性 | 非常に高い | 良好 |
| コスト(kg単価) | 中 | 中 |
| 加工難易度 | 中(熱分解注意) | 中〜やや高(透明性確保) |
| 主用途 | 機械部品・摺動部品 | 光学・意匠部品 |