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技術情報・基礎知識
樹脂材料PET射出成形とは|特性・成形条件・用途と注意点を解説!
PET(ポリエチレンテレフタレート)は、ペットボトルや繊維で知られる身近な樹脂ですが、射出成形では「乾燥」「結晶化制御」「金型温度管理」の3点で他樹脂と全く異なる扱いが必要な、難易度の高い樹脂です。
この記事では、PET射出成形の特性・成形条件・透明性確保のコツ・代表的な不良対策を現場目線で解説します。透明な工業用PETから、ガラス繊維強化PETまで、用途別の実務情報を網羅します。
1. PET樹脂とは
1-1. PETの基本特性
PET(Polyethylene Terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)はテレフタル酸とエチレングリコールの重縮合体で、結晶性樹脂に分類されます。結晶化度によって性質が大きく変わるのが最大の特徴です。
| 特性 | 数値・特徴 |
| 融点 | 250〜260℃ |
| ガラス転移温度 | 70〜80℃ |
| 連続使用温度 | 60〜80℃(非結晶)/〜200℃(結晶) |
| 引張強度 | 60〜80MPa |
| 透明性 | 非結晶状態では高い透明性 |
| ガスバリア性 | 炭酸ガス・酸素を通しにくい |
| 耐薬品性 | 油・アルコールに強い |
1-2. PET樹脂の種類
射出成形で扱うPETには複数の種類があり、用途によって使い分けます。
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
| A-PET(非晶性PET) | 透明、耐熱低(〜60℃) | 食品トレー、フィルム、医療容器 |
| C-PET(結晶性PET) | 不透明、耐熱高(〜220℃) | 食品冷凍トレー、加熱皿 |
| G-PET(共重合PET) | 結晶化を阻害、透明性維持 | ボトル、シート |
| GF-PET(GF強化PET) | ガラス繊維強化で剛性UP | 自動車部品、電装部品 |
2. PET射出成形の最重要ポイント
2-1. 乾燥(最重要)
PETは水分と反応して加水分解を起こします。わずかな水分でも分子量低下→物性低下→外観不良につながるため、乾燥は射出成形での最重要工程です。
| PET標準乾燥条件 乾燥温度:140〜160℃/乾燥時間:4〜6時間/露点:-30℃以下/含水率:50ppm以下 デシカント式(除湿)乾燥機が必須。熱風乾燥機では露点が下がらず不十分です。 |
2-2. 結晶化制御
PETは結晶化度によって透明性と耐熱性が大きく変わります。
- 透明にしたい→急冷で結晶化を阻害(金型温度5〜15℃)
- 耐熱性を高めたい→徐冷で結晶化を進める(金型温度140℃以上)
この2つの方向性は両立できないため、用途に応じてどちらを優先するかを最初に決定します。
2-3. 金型温度の重要性
PET射出成形では、金型温度の管理が他樹脂と比較して極端な値になります。
| 目的 | 金型温度 | 設備 |
| 透明A-PET成形 | 5〜15℃ | チラー必須 |
| GF強化PET(汎用) | 100〜140℃ | ヒーター・オイル温調 |
| C-PET(耐熱グレード) | 140〜180℃ | オイル温調必須 |
特に透明A-PETでは樹脂温度280℃から金型温度5〜15℃への急冷が必要で、極端な温度勾配を管理する必要があります。
3. PET射出成形の標準条件
| パラメータ | 設定値 |
| シリンダー温度 | 260〜290℃(後部250℃→前部290℃) |
| 金型温度 | 透明:5〜15℃/結晶:140〜180℃ |
| 射出圧力 | 80〜150MPa |
| 射出速度 | 中速(フローマーク・白化に注意) |
| 乾燥条件 | 140〜160℃×4〜6時間(露点-30℃以下) |
| 成形収縮率 | 非晶:0.5〜0.7%/結晶:2.0〜2.5% |
| 背圧 | 5〜15MPa |
4. PET成形でよく起きる不良と対策
4-1. 白化・曇り
PETの代表的な不良です。透明にしたい部品が白く濁る現象で、原因は結晶化です。
- 対策:金型温度を下げる(5〜15℃でチラー使用)
- 対策:射出速度を上げて急速充填
- 対策:肉厚を薄くして冷却時間を短縮
- 対策:G-PETなど結晶化を阻害したグレード選定
4-2. シルバーストリーク(銀条)
最も多い不良で、乾燥不足が原因の場合がほとんどです。
- 対策:乾燥温度・時間・露点をすべて見直す
- 対策:含水率を計測(カールフィッシャー法)
- 対策:成形機ホッパーでの吸湿を防ぐホッパードライヤー使用
4-3. ストリーク・縞模様
樹脂の流動性のばらつきや、温度ムラが原因です。
- 対策:樹脂温度を上げて流動性を均一化
- 対策:金型温度の偏りを解消
- 対策:射出速度を一定に保つ
4-4. ひけ・寸法不良
結晶化PETは成形収縮率が大きく(2.0〜2.5%)、ヒケと寸法不良が出やすい樹脂です。
- 対策:保圧UP・保圧時間延長
- 対策:肉厚均一化
- 対策:ゲート位置を肉厚部に配置
4-5. 焦げ・変色
PETは過熱されると分解しやすく、シリンダー内の滞留時間に注意が必要です。
- 対策:滞留時間を10分以内に管理
- 対策:樹脂温度を必要最小限に設定
- 対策:停止時はパージ
5. PET射出成形の主な用途
5-1. ボトル用プリフォーム
ペットボトルは正確には「射出成形+ブロー成形」の2段階で作られます。まずプリフォーム(試験管状の中間体)を射出成形で作り、その後ブロー成形で膨らませます。
5-2. 食品包装容器
A-PETは透明性とガスバリア性を活かして、食品トレー・電子レンジ非対応容器に使われます。C-PETは耐熱性を活かして冷凍食品用の電子レンジ対応皿に使われます。
5-3. 電子・電装部品
GF強化PETは寸法安定性・電気絶縁性を活かして、コネクタ・スイッチ・ハウジングに採用されます。
5-4. 自動車部品
GF-PETはエンジン周辺以外の電装部品・内装部品に使われます。
5-5. 医療容器
透明性とガスバリア性、化学的安定性を活かして、注射器・医療用容器・診断キット部品に使われます。
6. ヤマデンのPET加工対応
ヤマデンでは、PET樹脂の射出成形品・切削加工品の両方に対応しています。試作・小ロットには切削加工、量産には射出成形と、ロット数に応じた最適工法を選択します。
- PET100使用 産業機械向け樹脂部品(切削加工)
- PET摺動部品(半導体関連向け精密加工)
- PET樹脂射出成形品の試作・量産対応
| PETは「乾燥」と「結晶化」の知識が品質を決める PET射出成形は、乾燥条件と結晶化制御の知識がないと不良率が高くなる難しい樹脂です。ヤマデンでは創業60年の経験で蓄積した知識をもとに、安定した品質をご提供します。 |
| 射出成形・プラスチック加工のご相談はヤマデンへ 「図面はあるが成形業者が見つからない」「試作1個だけで申し訳ない」「材料選びから相談したい」──どんな段階のご相談でも無料でお受けします。 TEL:042-682-2811(受付 9:00〜17:30、土日祝除く) 無料見積もり・お問い合わせ:https://yamaden-ltd.co.jp/form/estimate/ |
7. よくある質問(FAQ)
Q1. PETとPBTの違いは?
どちらもポリエステル系ですが、PBTのほうが結晶化速度が速く、射出成形では金型温度の管理がしやすいです。電装部品ではPBTが多用されます。
Q2. PETの代替素材はありますか?
透明性ならPMMA・PC、耐熱性ならPBT・PPS、ガスバリア性ならPVDC・EVOHが代替候補です。用途に応じて最適素材を提案します。
Q3. PETの再生材は使えますか?
再生PETは加水分解の進行が懸念されますが、適切な乾燥と固相重合処理がされていれば使用可能です。透明性が要求される用途では新材を推奨します。
Q4. PET射出成形の最小ロットは?
金型費が必要なため、射出成形は最小10個〜(簡易金型)が現実的です。試作は切削加工で1個から対応可能です。
Q5. PETボトル用と射出成形用は同じ樹脂ですか?
ベース樹脂は同じですが、グレード(IV値・添加剤)が異なります。ボトル用は延伸性能を重視、射出成形用は流動性と寸法安定性を重視したグレード設計です。
まとめ
PET射出成形は「乾燥」「結晶化制御」「金型温度の極端な管理」という3点が成功の鍵を握る難易度の高い樹脂加工です。透明性と耐熱性は両立できないため、用途に応じてどちらを優先するかの判断から始まります。
ヤマデンでは創業60年の経験で蓄積したPET加工ノウハウで、お客様の透明部品・電装部品の試作から量産まで対応します。素材選定からのご相談を承ります。